子連れパリ生活 中間レポート

エッセイ

こんにちは!のんちゃんです。

もうすぐ1歳になる子供を連れてのパリ生活、まだまだ母としても、パリ在住者としてもヒヨッコの私、語れるほどの大それた経験もできていないとも思うのですが、ここまで数か月間、子連れで生活をしてみての所感を綴っていきたいと思います。

表向きは「パリなんていいね!」「毎日めっちゃ楽しそうにしてる!」などと周りからも言われることも多いのですが、実際は日々ため息の連続(笑)。

私自身、子供のころは紛争やデモ・ストライキ・銃撃戦・クーデターの勃発していた発展途上国に住んでいた経験もあるし、学生時代~独身時代はバックパックでインド鉄道旅をしたり、カンボジアで自転車を乗り回しながら陸路で国境を越えてみたり、急に思い立って一人でタイに行ったり、結構カオスな場所も好きで、多少のことでは驚かないしへこたれないと思っていました。
まだ子供がいない時期に過ごしていたパリでの生活は、多少不便でも、「まあこんなものだろう」と受け止めていたのですが、その時とは見えてくる景色もだいぶ違ってきています。

今回は、みんなが想像する「キラキラパリ生活♪」とは違った側面をリアルに書いてみたいと思います。

フランスは子育てがしやすい国というイメージ

フランスは、ヨーロッパや先進諸国の中でも、合計特殊出生率が高く、特に2014年頃には2以上となっており、フランスは子育てがしやすい国なのではないかというイメージが私の中にも漠然としてありました。
(※2023年時点では過去最低水準の1.68に低下。参照
その背景としては、育児・家族支援政策が功を奏したことにあると認識しています。
例えば、保育制度の充実や子育て世帯に対する経済的支援、育児休業の充実などです。
参照

子どもを妊娠し、一時的にもフランスで子育てをすることになると分かったとき、そんな「子育て先進国」のフランスで子育てを経験できることに心が躍ったのを覚えています。
そして、フランスで経験して良かったことはぜひ日本に持ち帰って広めたりできたらいいな、とも思っていました。

外出するにも一苦労。バリア”アン”フリーなパリ

子育て世帯への支援が充実していることは事実なのでしょうが、実際の生活面を見てみると、理想とはかなりギャップがありました。

古い街並みが美しく保存されており、日々多くの観光客を魅了するパリですが、ここで「物事には必ず二面性がある」ことを思い出させられます。

古い街並み=バリアフリー化が進んでいない、ということです。

もちろん、古くても政府がインフラにお金をかけて改修していれば話は別ですが、パリの場合はことあるごとに開催されるパレードや花火やトリコロール雲の飛行機に税金が消えてしまうのでしょうか?と恨み節の一つでも言いたくなるくらい、最近行ったバルセロナなどと比べてかなり遅れているなあと感じました。

建物や道路が古いため、細かい段差が多かったり、道にいきなり大きな穴が開いていたり、特に不便なのは駅。
古い駅や線路が多いのですが、特にメトロ(地下鉄)にはエレベーターやエスカレーターのない駅が多いです。
もしくは、一部にエレベーターがあっても、乗り換えの際に細かい階段がちょこちょこあったりします。

日本では、特に東京は、オリンピックの前に駅のバリアフリー化にかなり力を入れたこともあり、どの駅にも必ずエレベーターがついていますよね。
これがいかにありがたかったのか、今になって思い知らされます。
(パリも最近オリンピック・パラリンピックがあったばかりなのにな…)

また、日本は道路の不意な段差もなく、もちろん変な穴も開いていませんが、パリでベビーカーで道を歩いていると、いちいち段差に突っかかるし、穴に車輪が落ちるし、歩道が水平になっていなくて車道側に落ちないように手に力を入れてベビーカーを押さなければならなかったり。

そのため、パリでは子連れで外出するハードルがものすごく高いのです。
まず、パリで移動をするなら一番便利な交通手段はメトロですが、メトロは先述した理由から、ワンオペで利用するには大変厳しいものがあります。
ベビーカーと子供と、子育てグッズをたくさん入れた大きなカバンを持って、長い階段を女性一人で上るのはかなりしんどいし、転んだりでもしたら大変です。
後述しますが、パリの人は弱者にやさしく、助けてくれる人も多いのですが、階段の度に人の助けを期待して移動するのは心理的に結構負担です。
子どもが小さいうちは抱っこ紐で移動することも選択肢の一つですが、成長するにつれ重くなるし、かなり体力を消耗します。

かといって、ただエレベーターがあればいいのかというとそういうわけでもなく、RERという国鉄の駅には大体エレベーターが付いていますが、大変故障率が高いので頭を抱えてしまいます。

行きはエレベーターが動いていて無事電車に乗っても、帰りはエレベーターもエスカレーターも壊れていて、長い階段を降りたくても周りに人が誰もいなくて助けも呼べないし、仕方なくバス停を探してバスに乗り換えたのに、そのバスも急なサービス停止で途中で降ろされ、結局子連れで長距離を歩いて半泣きで帰宅したことも。
雨が降っている時なんかはさらに最悪です。

予定通りにいかなすぎる公共交通

パリは鉄道やバスがしょっちゅうイレギュラーな動きをします。
理由は様々ですが、電車の場合は車両の故障や線路の不具合などが多いです。
ちなみに今日は”driver’s intervention(運転手の介入)”という謎な理由で電車が止まり、30分以上駅で待ちました。

バスの場合は、道路の工事やデモなど、最近だとオリンピック・パラリンピックの交通規制の影響で迂回や運休がしょっちゅう発生します。事前の通告はほぼありません。

まだ健常な大人だけで移動する場合であれば、「バスが来ないからメトロで行こう~」とか「RERが動いてないからメトロで行こう~」とすぐに方針転換できるのですが、子連れだとそうもいきません。
ベビーカーで移動しているからRERやバスに乗りたいのに、その頼みの綱である交通手段が動いていない場合、メトロに乗り換えたくとも気軽にできないので、ひたすら復旧を待つか、タクシーで帰るかしか選択肢がありません。
なんとか別の代替手段に乗り換えても、同じく代替で乗る人が殺到し、激混みで半泣き、なんてことも多々です。
やっと家に着いたのは予定の1時間後、などということもざらにあります。

パリでこの公共交通の洗礼を何回浴びたことか。

また、パリは交通渋滞がひどく、特に最近だとオリンピック・パラリンピックの影響で更に渋滞が激しかったので、タクシーや車でも、通常30分で行けるところに1時間以上かかったりしていました。
乗っている方はまだしも、uberやboltの運転手さんは、距離で定額運賃なので、商売的にしんどいだろうなと思ったりもしました。

パリの小児医療事情

子連れだと常に心配になるのが、子供の急な体調不良や病気などへの対処です。
自分だけなら、なんとか我慢したり、多少の無理はあっても大丈夫だろう、と思えるのですが、小さな赤ちゃん連れともなるとそうもいきません。
日本にいる時ですら、ただでさえ心配で、特に第一子なので子供が熱を出そうものならそのたびに右往左往。

フランスは医療先進国だし、大丈夫だろう~とも思っていたのですが、ここにも細かい不便がありました。

まず、フランスでは小児科医でもかかりつけ医を見つけて、定期検診や予防接種などはそのお医者さんに診てもらうのですが、ほとんどの開業医は予約ベースの診察で、急患対応はしていません。

パリには、私の知る限り3つほど小児科で緊急対応をしている病院がありますが、「3つしかない=すごく混む=待ち時間がすごく長い」ということは想像に難くありません。

まだ小さい子供が、体調が悪い中、病院で何時間も待つのも体力的に負担がかかります。

一度、こちらに子連れで来たばかりの時に、子供が初めての発熱をしたことがあるのですが、病院で何時間も待つのは現実的ではないなと思い、その際は何とか往診医を見つけて家にすぐに来てもらうことができました。
その際はただの風邪から来る発熱だったので、往診医の持っている簡易的な医療器具だけで事足りたのですが、もしもっと緊急性の高い事態に陥ったらどうしよう、と常に不安が付きまといます。

日本なら小児科がたくさんあって、当日でもすぐに診てもらえるのにな、と日本の医療サービスの質の高さをここでも思い知ることになりました。

パリの保育園事情

パリでは、保育園が充実している、と噂で聞いていました。
そのため、お母さんも生後3か月くらいで復帰する人が多いということもよく聞きます。
実際、ワーママはとても多いと思います。

しかし、こちらのママさん曰く、「保育園は競争率が高くて簡単に入れられない」ということでした。
その辺は日本と同じなんだ、と驚きました。
むしろ、日本では、最近は保育園を増やしている自治体も多く、だいぶ待機児童が解消されてきており、保育士の友人曰く、園を選ばなければどこかしらには入れるということですので、もしかしたらパリの方が保育園事情は悪いのかもしれないとさえ思えます。
(でも、何とかして入れている方も多いので、一概には言えないのですが…)

それでは、パリのワーママさんたちはどうしているのかというと、ベビーシッターさんにお願いする人がとても多いということでした。
ベビーシッターさんは、移民の方が多く、平日に公園などに行くとベビーカーを押すベビーシッターさんたちの集団に遭遇することがよくあります。

シッターさんがすぐに見つかるという点は、働くママさんたちにとってはありがたいことだと思いますが、実際シッターさんがきちんとした資格を持っているのかは、個人的に調査しきれていません。
ただ、公園で子供そっちのけでスマホをいじるシッターさんの姿を見てしまったりすることもあるため、預けるのはちょっと不安だな、と思ったりします。
きちんとした人を紹介などで選べばいいのかもしれませんが、この土地に長く住んでいない外国人からしたら、そうした情報を得るのはなかなか容易ではありません。

その他…細かい不具合が多い

その他、レジの機械だったり、駅の券売機だったり、何かと機械系の故障がすごく多いです。
日本だったら絶対にないであろう故障が、リアルに2回に1回は起こります。
スーパーでは無人セルフレジが普及していますが、本当によくエラーになって、機械サポートのお兄さんがいつも引っ張りだこになっています。
これって無人セルフレジの意味あるのかな?っていうくらい。

また、家電系もよく壊れるし、修理を呼んでも中々反応が悪いのは日常茶飯事。

建物も古いため、建付けが悪く、うちの家のトイレのドアは上手く閉まりません(笑)。
カーテンも上手く閉まりません。
大家さんに言ってもなかなか反応が悪く、まあずっと住む家じゃないし・・・と多少の不具合は諦めてしまっています。
家を借りるときも不動産会社から全然返信がなく、内見する暇もなくバタバタと借りた家なので、仕方ないですね。

なお、パリでは一回引っ越していますが、以前住んでいたアパートは、エレベーターがしょっちゅう止まり、旦那も私も1回ずつ閉じ込められています(笑)。
旦那に関しては、閉じ込められたときがバカンス期間で、管理人もいなかった時で、2時間近く閉じ込められていました・・・(;^_^A
幸い、今のマンションは、一度も止まったことがないのですが、古い建物に無理やり作ったエレベーターのため、すごく狭くてベビーカーをギリギリ乗せられるサイズで、ぎゅうぎゅうに乗るため、毎回扉におしりを挟まれます。
でも、エレベーターがあるだけマシよ、とこちらの方には言われます。

郵便物も、特に日本からの関税がかかるような荷物は、いきなりクロノポスト(日本でいう日本郵政)から「今日家に届けに行くよ」と連絡があり、運悪く不在だったりするとその後なかなか受け取れないようなこともありました。

ただ、以上のような、この類の不具合は、海外あるあるなので、フランスが特にひどいというわけではないと思います。

冒頭で書いたように、もっと状況の悪い発展途上国にも住んでいたことがありますし、少し前の私なら「これくらいの不具合ごときで文句を言っていたら罰が当たる」と思っていたでしょうが、よくよく振り返ると、もっと状況の悪い国だと、特に駐在などだと手厚い手当があるので、意外に乗り切れるものだったりするのかもしれません。
先進国なのに意外に不便なことが多い、という状況の方が、日本の便利な生活に慣れてしまった身からすると、結構辛いのではないかなと思ったりしました。

何にせよ、いかに日本がきちんとしている国か、というのは在外が長い人ほど感じることだと思います。

だけど…子供にすごく優しいフランス人

ここまでつらつらと不便さを語ってしまいましたが、日々とても感動していることがあります。
それは、フランス人の子供への優しさです。
子連れで抱っこ紐でメトロに乗ると、必ず誰かが席を譲ってくれます。
日本だと、優先席でも譲ってもらえないことも多々ありましたが、こちらでは私を見るや否や、みんな食い気味で(?)譲ってくれます。
目線が合っていなくても、わざわざ私の前に回り込んできて「座席譲ろうか?」と聞いてくれます。
一度に何人もの人が同時に席を立ってくれるようなこともあります。

また、電車やバスに乗るにも段差があるのですが、必ず近くの人が一緒にベビーカーをもって上げてくれます。不愛想に見える今どきのお兄ちゃんでも、サッとナチュラルに手伝ってくれます。

階段の前で立ち往生していると、すぐに誰かが来てベビーカーをもって上がってくれます。
なお、子連れじゃなくても、大きなスーツケースを持っていた時に、サッとスーツケースをもって長い階段を上ってくれた紳士もいました。

また、こちらの扉は自動じゃないことも多く、押戸だったり引き戸だったり、しかも扉も重いのですが、必ず誰かが開けて待っててくれます。
子供でも、赤ちゃんがいると分かると、率先して扉を開けてくれたりします。
きっとそういう教育が行き届いているのだなと思います。

また、子供好きな人が多く、子供を連れていると、1日に何回も色んな人から声を掛けられます。
「可愛いね~、何歳なの?、男の子女の子?」などなど。
通りすがりの人が「coucou~!」と優しい笑顔で話しかけてくれます。

レジで、レジの係の人がオマケをくれたりします。
レジの人の独断でこんなのくれちゃって大丈夫なの⁉と思うくらいのオマケをくれます。
(有名ショコラトリーで、買ったチョコレートと同じ値段のチョコレートをもう一個くれたり、おもちゃ屋さんで、買ったぬいぐるみと同じ大きさのぬいぐるみをもう一個くれたり。お会計を値引きしてくれたり。)

レジャー施設や美術館、お店など、さまざまな場所で行列をスキップさせてくれます。

そんなこんなで、日々の生活でやさぐれた私の心は、ほぐされていきます。

やっぱりフランスはすごい国

そして、パリはやっぱり街並みが美しいし、人のいでたちや街のちょっとした装飾、お店のインテリアなどなど、何をとってもオシャレです。
可愛い小物が多いし、洋服がおしゃれだし、ご飯も美味しい、野菜や果物が美味しい。

今回のオリンピック・パラリンピックでも感じましたが、フランス人は「魅せる」ことが本当に上手だなあと。
(内部の人何人かに聞きましたが、準備段階は相当なカオスっぷりだったそうですが汗)

人のやさしさ、人を惹きつける空間やモノづくりなど、見習いたいところがたくさんあって、探究するにも飽きない街。
子連れで移動する不便さはあれど、それを乗り越えてでも行きたい場所が多いです。

だから、私はこれからも、色々探究しに行きたいと思っています。
多少の日々の不便も、趣味で始めたインスタグラムやブログで発信することをモチベーションにプラス思考に変えられていると思います。
せっかくこっちにいる間は、こちらの素敵なところをたくさん発信したいなと思っています。

だけど、良いところばかり切り取っていても、それはリアルな発信でもないと思うので、まだまだ色々とヒヨッコですが、今後もたまにこうして箸休め的に、リアルに感じたことを書いていければいいなと思っています。

 

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